一歩前進-13 第一初級操縦課程(Ⅱ)

 ここで課目の説明をする。
 「空中操作」とは、飛行の基本である離着陸訓練・水平直線飛行・各種旋回・失速・アクロバット等を行い、有視界状態での基本的な操作を演練する。
 「離着陸訓練」は、全ての基本であり飛行の中で一番難しい課目ではない。見張りを欠かさずあらゆる条件下で各課目を実施するのが一番大切である。
 「計器飛行」は、コックピットに付いている「幌」をかぶり、雲中を模擬し計器のみで飛行する訓練である。
 管制機関と交信しながら正確な操作が要求される大切な課目である。
 「編隊飛行」は、2機の基本隊形での飛行が中心である。隊形変換、空中再集合、2機でのコウデネイトされた飛行、隊形保持要領等の演練を行った。
 もともと、編隊飛行の目的は、索敵・相互の連携により戦闘力の向上であるが、定められた隊形の保持・手順を脇目もふらず実施するのが精いっぱいであった。
 卒業するまでの間、単独飛行が10回程度あった。
 初めての単独飛行では、教官の替わりに50キロの土嚢を積み飛び上がる。
エンジンをかけ地上滑走し、管制塔と交信しつつ離陸する。いつも後席で罵声を飛ばし緊張を高ぶらせる教官はいない。不安と感激が胸を駆け抜ける。
「バッキャロー」「バンザイ」「ヤッター」等嬉しさと感激を大空いっぱいに怒鳴り続ける。
 「単独飛行」の感激は、今後T−1・T−33に搭乗するたびに味合うが、Tー34でのこの時の感激は一生忘れない。
しかし、この影に防府基地と含め5名の「学生免」が出たのは残念でしょうがない。
 次の7人が、この課程を卒業した。
 

 卒業の前の最後の単独飛行を祈念して。