一歩前進−07 基本課程(2)

 一日の開始は、起床0600、上半身裸で集合約2キロの駆け足、清掃・食事と忙しく流れる。課業の開始は、0800、全員整列、国旗に敬礼・隊長に対する敬礼・服装検査・精神教育等が終るといよいよ教育が開始される。訓練の特徴から通常、午前は学科、午後は体育・教練等になる。(午前中体育等を行うと、午後の座学中居眠りをするものが多い)
 学科は、「物理(流体力学・熱力学等)」「航空機工学」「電気工学」「数Ⅲ」「英語」「防衛学」等である。高校時代は、文化系大学を目指していた小生にとってこれらの課目はまさに地獄、勉強はもうしなくても善いと思っていたが大変なものであった。高校時代にこれだけやれば、人生が変わっていたかもしれない。
しかし、ここでの一年間の勉強はその後のFー86Fの射撃理論の勉強・教官、Tー2の運用試験に役立つことになる。

 体育は、午後が中心となり「水泳」「ラクビー」「駆け足」「剣道」等を行う。
 水泳は、全く泳げない者も最終的には、5キロの遠泳を出来るまでになる。

 駆け足は、10キロ、5キロを毎回、剣道は、冬季間行うのである。いずれにしても午後ビッチリ行うためかなりきつい。
この教育期間中、一番思い出深いものは、ラクビー訓練中Tー1が目の前で墜落し、二人の先輩操縦士が殉職したことである。飛行場上空で背面飛行中回復に失敗しそのまま飛行場の東の方向につっこみ墜落したものである。一瞬の間の死に対する空しさが今後自分たちにも待っていると思うとショックであった。しかし、これがもとで自ら去ったり、神経質になったりした者は居なかった。