F-35A戦闘機墜落事故の要因

F-35A戦闘機墜落事故の要因と再発防止策について

 航空自衛隊は、4月9日(火)に発生した第3航空団(三沢基地)所属の F-35A戦闘機の墜落事故を受け、F-35A戦闘機の飛行を見合わせている。

 航空自衛隊は、本事故に関しこれまでに判明した事項に基づき、事故の再 発防止のため、F-35A操縦者に対する教育・訓練等の対策をおこなっている。


1 墜落事故の概要等

(1) 発生日時 平成31年4月9日(火)19時27分頃(正確な墜落時刻は19時 26分30秒頃と推定)

(2)発生場所 青森県東方太平洋上(三沢基地東方約135Km付近の洋上)

(3)概要 第3航空団第302飛行隊(三沢基地)所属のF-35A戦闘機が、 18時59分頃に4機編隊の1番機として三沢基地を離陸し、三沢基地 東方の訓練空域において同型機4機での対戦闘機戦闘訓練を実施中、通 信途絶の上、レーダー航跡が消失し、墜落。

(4)操縦者 細見 彰里(ほそみ あきのり)3等空佐(41歳)

2 これまでに判明した事項 (データリンク

・地上レーダー等の記録や聞き取りによるもの)

① 19時25分頃、当該機は、訓練上、対抗機の2機を撃墜した旨を送 信。 ② 19時26分頃、地上管制機関から、米軍機との離隔距離をとるため の降下指示を受けて、当該機は「はい。了解」と送信し、左降下旋回を 開始(約 31,500ft)。
③ 19時26分15秒前後、地上管制機関から、米軍機との離隔距離を とるための左旋回の指示を受けて、当該機は左旋回後、「はい、ノック・ イット・オフ(訓練中止)」と送信(約 15,500ft)。 この際、落ち着いた声で送信が行われている(聞き取り)。 ②~③の間、平均降下率が時速約 900km 以上の急降下姿勢。

④ 19時26分30秒頃、当該機のレーダー航跡が消失し、直後に墜落。 ③~④の約15秒間、平均降下率が時速約 1,100km 以上の急降下姿勢が 継続。直後に墜落したものと推定。その間、緊急脱出が行われた形跡は 確認されず。なお、機体は激しく損壊し、部品・破片等が海底に散乱。

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飛行状態-01



3 要因分析

(1)①~③の間、操縦者は、 ア 交信を継続しているが、機体の異常を示唆する交信は行われていな い。 イ 地上管制機関の指示に対し、「はい。了解」と返信があり、意図的 な推力操作、降下及び旋回を行った後、「はい、ノック・イット・オ フ」と送信している。 これらのことから、この間においては、操縦者に意識があり、機体は 正常に作動していたと推定。

(2)③~④の間(「はい、ノック・イット・オフ」の送信後約15秒間) に操縦者の意識喪失や機体の異常が発生した可能性については、低高度 に下がる中で短時間のうちに低酸素状態による意識喪失に陥ることは 考えられず、G-LOC(※)による意識喪失や機体のエンジン制御、操 縦及び電気系統等の不具合については、左旋回終了後に正常な交話(「は い、ノック・イット・オフ」)が確認されていること、異常に応じた機 動、交信、脱出が確認されていないこと等から、可能性は極めて低いも のと推定。 ※G-LOC:重力に起因する意識喪失

(3)②~③の間、平均降下率は時速約 900km 以上、③~④の間は、時速約 1,100km 以上の急降下姿勢であり、推力の喪失や機体構造上の不具合の 可能性はなく、有効な回復操作が可能な最低高度に至っても回復操作が 見られないことから、操縦者が「空間識失調」(平衡感覚を失った状態) に陥っており、そのことを本人が意識していなかった可能性が高いと推 定。

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飛行状態-02



4 対策

(1)可能性が高い、「空間識失調」対策を実施

 ア F-35A操縦者に対する空間識失調教育

 イ F-35A操縦者に対する空間識訓練装置及びシミュレーターに よる訓練

(2)可能性が極めて低いが完全には否定できない、G-LOCによる意識 喪失や機体のエンジン制御、操縦及び電気系統の不具合については、念 のため、全F-35A操縦者にG-LOCによる意識喪失に係る教育及 びF-35A戦闘機に対する特別点検を実施

 ア F-35A操縦者に対するG-LOC防止のための教育

 イ F-35A戦闘機の機体の特別点検(エンジン制御、操縦及び電気 系統)

とのまとめを公表した。

 もとパイロットとして、理解はしているつもりだがなぜこの飛行状態であえてバーティゴに陥りやすい飛行状態にしたのか?

 報告にある飛行状態でGCIからの情報で急激な操作の必要性はなかったのではないか、他に、別な状態が発生していたのではないかと推測したくなる。

 太平洋の方向に飛行していたとするとすでにバーティゴに入っていたのではないか。

 他にHUDの情報や色合い情報の表示内容に問題はなかったのか。

 弁黒人と日本人の色彩判読能力や色彩感覚が異なることは、過去の米国製戦闘機によく見られることである。

 誰かが気がつき改修の糸口になるといいが