一歩前進−38 (教官と学生)

 ここ松島基地では、教育部隊として発足以来戦闘機操縦法を教育している。
今までの課程で教育されてきた基本操縦法は既に身に付いている事を前提に、戦技、所謂、敵の戦闘機や爆撃機等を撃墜する基本的方法を教育する。(現在もT−2で実施している) 今まで修得した空中操作やアクロバットのあらゆる知識や技術を駆使し、空中戦闘法・射撃法そして敵を撃墜するための基本的機動法を演練する。
教官として重視すべきは、課程において教官の「全人格的教育」に心掛けることである。
教育法の基本的事項は、ミィーティングで思想統一し誤りなくし、戦闘機操縦者として必要な精神的なもの・戦闘法・射爆撃・緊急待機に関する心得等それぞれの経験・立場・得意とする分野を徹底・教育し真の「エアマンシップ」を育成する。
これまでの課程では、所謂、「特定の教官の物まね」で基本的操縦法を教育してきたが、ここでは状況の変化に基づく判断力・協調性・迅速性・集中力・闘志等を重視し個々の能力を高めていく。
学生は、より多くの教官と接することにより片寄のない知識や技能を磨き、目標を掴み卒業後防空任務に対する意識を培っていく。
考え・学び・向上心を養う。不十分なもの適性のないものは、淘汰される。
下手は下手なりに努力し、上手いものはそれなりに努力しエースを目指すことになる。
近い将来、教官もまた実戦部隊に帰り若い彼らと共に戦技を磨き、あるものは教官を追い抜き教官に感謝し、また彼我不明機の国土侵入を阻止するアラート任務に就きながら、先輩と後輩、あるいは共に国を守る仲間として成長していく。
 そんな思いも、今回の震災で航空機は流され飛行場機能は今だ万全でない。
 寂しいの一言であるが、最近の外交・防衛の姿を見ていると、かつて、税金泥棒と言われながらも訓練にみ励み、領空侵犯措置に汗を流し青春を国にかけた自分がむなしく感じる。
 現職自衛官はどう考えているのだろうか。本音を胸の内に秘めながらの任務はいかばかりか。