一歩前進-09 基本課程(4)

 年末年始の休暇が開けると今後の道を決定する大きなイベント「適性飛行」が待っている。
 現在は、航空学生募集の際、適性飛行まで実施してから自衛隊にはいるが、当時は、正月あけに実施されていた。
 
 入校して10ヶ月この「適性飛行」にかけて全ての訓練が実施されてきた。しかし、当時は、この「適性飛行」で半数が大空への夢を断たれることになる。 「適性飛行」は、山口県防府市防府南基地おいて1月末から3月間、3回に分け実施された。
 「適性」は、「心理」「飛行」の2部門からなり、資質・知識・体力・飛行感覚・適応性等について実施された。
 「心理適性検査」では、適応性・情緒安定性・性格検査等が見られ、「飛行検査」では、準備段階として操縦法・器材の取り扱い・航空生理等が地上教育された。実際の飛行は、確か4回程度であったと思う。(現在は、4回実施)
 エンジンをかけ地上滑走し、空中に上がる。地上準備教育で実施したことがきちんと出来るか。手順的なもの、「操縦」では、水平飛行・旋回・上昇降下・簡単な操作等のなかで「操縦と調和」について評価されるのである。
 飛行前後のブリィーフィングでの対応、上空での精神状態なども見られる。
 現在のように、自衛官になる前の者に対する検査と異なり、厳しいものがあった。怒鳴られたり、叩かれたり、帰れ等々毎日涙を流しての苦しい検査であった。
 結果は、5月卒業の約1月前に発表された。この間、学生の精神状態は教育期間を通して一番不安定となる。
 こんな中で、3月後輩が入校する。