一歩前進-35 (52 空間識失調の分類)

 空間識失調(バーティゴ)については、27番で記述したが今回はその分類と対処等について記してみたい。
松島基地には、バーティゴシミュレーターがあった。飛行機の性能の変化、それを操縦するPilotも時代を代表するものが搭乗し日々の訓練そして対領空侵犯措置任務に就いている。より精密な航空機に搭乗し、高機動が要求される操縦者は、バーティゴとの戦いを強いられる運命にある。
◎空間識失調の分類
1 自動運動  夜間飛行時に起こりにくい
2 誘導運動  編隊飛行時、航空機間の相対運動差により生じる
3 傾き感覚  三半規管の反応時間の遅れや緩徐な角速度に対する半規管の感受性が低いため起こる。
4 コレオリー効果
旋回中にパイロットが頭を振ると、2つの回転力が同時に2つの半規管と作用して、刺激を受けない半規管の面での上昇・降下感や転倒感を生じる。
5 傾き(Bank)の評価の誤り
緩徐なbankは三半規管の時間的遅れによって正確な傾き量を感知できず、全傾斜量を過小評価する。
6 眼動性錯覚
離陸時のように急激でしかも大きな加速度が加わったときには、合力が後ろ下方に向くため、過度な上昇感を抱かせ、機種上げ操作を誘発させる
7 眼旋回性錯覚
   早さを刻々と変化させながら旋回すると、目標が一瞬飛行方向と反対方向に移動するように見える。
8 関係枠の喪失
夜間飛行時、視界情報や速度感が得られにくいため、星や地上燈火が同一平面に上に有るような錯覚に襲われる。

◎ 情  報  源
 1 視覚情報
  ・・・地上に於いて影響大
2 平衡感覚情報
  ・・・飛行中における影響大
  ・・・三半規管から送られる情報により角加速度を脳が判断する。
     耳石は、直線加速度を感じる
3 体性感覚+   ・・・圧迫感という形で表現される
   ※人間の感覚では重力とGを区別できない

  ☆特徴
1 当然の生理的反応
2 自覚がない
3 脱却が困
  ●脱却方法
1 計器を信頼する
2 姿勢を把握する>
3 他のPilotに知らせる
4 頭を急激に動かさない水平定常飛行を行う