一歩前進−56(34 決心と行動)

現在の航空作戦は、時間との戦いである。
これに対処するために組織され訓練されている航空自衛隊パイロットの多くは、すべの事態に極めて迅速に対処する癖がついている。
事態が起こるとまず行動し、その後、あるいは、行動しつつ考え物事を解決していく。
決心をせずいつまでもだらだら考えあるいは行動しようか迷っているのを見ると腹が立つのである。
しかしながら特長として言われる言葉に、「決心迅速、支離滅裂」という4文字熟語が航空自衛隊特にパイロットの思考を風刺したものがある。
パイロットは、操縦しながら考え判断し予測し刻々と変化する状況の中で最良策を見いだす事が必要とされる。
状況分析をし、結果を待っていては死んでしまう。
現状をあまりにも重視し、その状況に一点集中することは、死を意味し、それらはパイロットから淘汰する。
このため、パイロツトの多くは状況を素早く判断し、決心し行動するのが極めて早く、事態の発生に対して過敏に反応する傾向にある。
 飛行機を操縦している場合は、刻々と変化する状況を予測し、判断し行動する連続となるため少しの変化や処置をすることが癖になってしまうのである。
また、不測事態を予測しながらの対応であるため、あらゆる事象が緊急事態を含め「常態」との認識を持っているので全ての事象に速やかに反応するようになっている。
物事の事態に対応するための決心と行動(対処)は複雑であることを認識し、事態を回避するのではなくあらゆる事象は、常態との認識を持つことが大切である。
多くの人や組織の中で仕事をしている人たちは、何もないことが常態であり何もないことを思ったり願ったりしていれば安心との意識を持つことが大切との考えを持っている。 たとへば、平和を祈れば平和になり、反対すれば自己主張が出来、騒音の反対をすれば騒音がなくなり、現状を批判すれば次へ何かが出てくる等、現状認識や何故、どうすればの検討や意識の希薄な人が多い。
 ・・・・・この様な人たちは、事象に対して、どうすればいいの何か案は、となると・・・・「それは、あなたが考えなさい。」という解を出す。
あらゆる事態の発生に対する処置は、指揮官(市であっては町長や各課長等の管理職)や行動する部隊(市にあっては現場にいる職員等)は、経験がなく複雑な対応が求められる。
大切なのは、決心すべき内容に基づく情報と分析結果が常に管理者の元にあることと、行動の基本となるべき手順書なるものがつねに手元にあることである。
勿論この中には、不測事態に対する基本的な対処要領がなくてはならない。
次の項にこの「思考」について記述してみたい。