一歩前進―46(72―HARM)

 F−15、F−2の時代になり久しい。今、育っているパイロットは、FTRのハーモを知らない。もっとも多くの若いパイロットは、もしかするとハーモの必要性は感じていないだろうし、目的意識もないのかもしれない、デジカル化された戦闘機は諸元とおり目標を選択し、状況にあった武装を選択でき発射ボタンを押すだけの能力だけが要求されるのかもしれない。
 理論に基づく裏付けはあまり必要とされない時代になったのだろう。
 後日、T−2を基に作成し、教育資料として配布した「空対空射撃理論」をPDF化したい。 
 さて、HARMは、レーダーとガンのマッチング(照準調整)であり、F−86F、T−2/F−1までは、1000ftを基準に行った。なぜ1000ftかは、あまり言及しないが、射撃距離、計算の容易さ、誤差の修正の容易さ、地上での場所の選定と安全性の確保等であると思う。現に、私が装備隊との調整の中でT−2のハーモ要領を定めた場合は、その評価基準の一部は、上記のようなものを項目としてあげた。
 F−86Fの場合は、射距離1000ft、発射弾数Cal50㎜x10発。全弾5ミルコーンの中に入るよう何度となく行ったものである。
 通常、パイロットx1、レーダーx1、武装員x4人程度で行った。全部で6門あったので夜遅くまで続いた事もあった。
 一番よく当たるのがUPER GUN、続いてLOW GUN、しかしJUM(発射中弾が詰ってでなくなる)が多くよほどの事がない限りこのガンは使用しなかった。また、CENTER GUNは、ばらつきが多いため全門発射以外は使用しなかっものである。年に一度は、全門に搭載し射撃するが飛行機の振動で精密なトラッキングなかなかできず、初心者はその振動にびっくりして精密射撃ができずにただ標的の周辺に弾を撃ってくるだけの者もいた。
 どうしても当たらない飛行機や飛行隊のエース級の飛行機とする場合は、ハーモパイロットや武装員は、厳選した。
 当時の整備員として、熊谷、大山、谷津田、村上、野口、佐藤、丹羽、工藤氏らがおり、大変お世話になったものである。