一歩前進-10 基本課程(5)


 3月中旬、後輩期である20期生(3期ほど前から期と生まれた年が一致、すなわち彼らは、昭和20年生まれが主であるが入校する。
 先輩が後輩に対して良き伝統を伝承する行事があらゆる機会を通じて行われることになる。 
 前年度までは、4人の指導学生が後輩を指導していたがこの年は、2人の専任指導学生が各区隊(1区隊約30名)についた。このほかに、週番で2人の指導学生が応援にあたる。 
 専任指導学生の2人は、24時間後輩と起居を共にする。あらかじめ、適性飛行「適」の情報があった小生、余裕のある指導が出来た。
 この時の指導の心構えとして次ぎの「3つ」に重点を置いた。
 すかれる先輩よりも厳しい先輩になれ
 ・  夢を与える先輩にたれ
 ・  基本を大切に
 こんな中で、全ての後輩が行う行動には、彼らなりの「逃げ道」を与え徹底してしごいた。
 たとえば、連帯責任の罰は、彼らの個人差を大切にし、所謂ごまかしが出来るように、涙を見えないように主として夜実施したりしたものである。
 この経験は、その後の自衛隊生活に役だった。
 5月、いよいよ「適性飛行」の結果が発表された。「40名」であった。
 6月卒業式を迎えたのは86名であった事からすると、「不適」と評価された同期生の思いは、いかばかりかと推察する。 先に述べたが、この「40名」も半数は、今後一年半で自衛隊を去ることになる。