一歩前進―42(74 要撃訓練(DR:情報なし))

この訓練は、サイトが自機の位置を掌握できないか、不特定多数の見方機を相手機に占位させるための訓練であり、相手の情報が部分的にしか入手できない場合の要撃訓練である。
ある特定の基準点からの敵の方位、距離、高度、進路(これらの情報のいくつかは入らない場合がある)を指定の周波数で聞きながら、敵に接近し射撃位置に遷移する訓練である。
 この訓練に習熟すると要撃訓練(GCI)や広範囲にわたる空中戦闘時の組織戦闘や編隊戦闘に役立つ。
 パイロットは、GCIからある基準点(たとえば新潟放送局の周波数位置)からの距離、方位、高度を一方的な放送情報を各パイロットが持っているDR板にプロットする。 
 自機のプロットも同じ基準点とした方が分かりやすい。今の戦闘機は、高性能であるため高度の誤差や速度誤差、あるいは多少の進路誤差は関係ないが、F−86の様に、上昇性能や使用する武装に制限のある戦闘機は、戦闘高度や使用火器に基づく占位位置の確保は重要なポイントになる。
 コリジョンコースでかつ戦闘高度・速度にいかに到達させるか。自分の位置から最小時間で占位位置への移行する訓練を年に数度行った。
 この訓練のおかげで、T−2の要撃(初めてレーダーを使用しての)も、あるいは戦闘空域が格段と広がった組織戦闘の場においても自分を中心とした戦闘状況を容易に判断できた。
 現在の戦闘機操縦者には、飛行中様々な情報が入りその分析能力とその時々の優位な情報を即座に判断し利用し先頭に活用する能力が望まれる。
 これらの情報分析、利用法を誤ると撃墜される。
 しかし、もっと重要なことは戦争状態では、これらの情報が地上から得ることがきわめて困難となる。
 戦闘機の高性能を生かすため実際の戦闘に置いては、敵情報は不明確であり少ない事が予想されることから、自機のレーダーのならず立体的に戦場把握できる冷静な戦場把握能力をより向上させる事が望まれる。
  
 夜間飛行前のF―86F