一歩前進−31(28) パイロットの六分頭

 携帯電話使用中に発生したと思われる自動車事故が急増し、結果として運転中の携帯電話の使用が禁止された。これは、運転と電話をかけると言う2つの動作が運転に対する注意が散漫し事故に到るというのである。
飛行機の操縦においては、操縦をしながら管制機関や僚機等とごく当たり前であり、飛行中は、同時並行して色々なことをすることは常識でありこれが出来ないパイロットは失格となる。
パイロットの六分頭」と言う言葉がある。この言葉の意味には、二つの意味があると思う。
一つは、空中に上がると余りにも多くの判断すべき事象が連続して発生するため、一つの動作や思考、判断に対する努力の配分が全て中途半端になると言うこと。
もう一つは、物事一つに集中すると、次ぎの事象に対処できなくなり危険になると言うことと思う。
パイロットにとって一点集中的な性格の持ち主は、真に致命的である。
重力に逆らって航空機を飛ばす以上事故は、さけて通れない。中でも、事故要因にしめる人的ミスは、少なくない。
その中で大きな要素は、「パイロットの六分頭」が普通になったとき起こると思っている。
特に、飛行中、緊急/異常事態の発生に対し一つの事象のみに注意を奪われると、その他の操作や判断が疎かになるため事態を更に悪化させ事故に陥った例は、少なくない。
飛行機を操縦するのは手段であり、目的は、敵機を撃墜するにある。そのためにあらゆる外からの状況を掌握し、対処しなければならない。「六分頭で常に多くの事象に対処し、変化に伴う判断が出来るもののみが生き残る」のである。